ウィリスタワー

　シカゴのダウンタウンは摩天楼でも有名。1871年の大火で町が全焼したのをきっかけにして、高層ビルの建設が始まりました。10階建てのホーム・インシュランス・ビル（54.9m）が、その先駆けだったと言われています。その後も続々と高層ビルの建設が続き、今のような摩天楼が形成されました。

　アメリカで一番高いビルもここシカゴにあります。

　「ウイリスタワー」

　1973年の完成当時、屋上442.3ｍはあの911で崩壊したニューヨークの世界貿易センター（屋上417m）を抜き、世界一でした。

　長く「シアーズタワー」と呼ばれていたので、その名前で知っている方も多いかもしれません。ウィリスタワーと改称されたのは2009年のこと。シアーズはかつて世界最大の小売業者、百貨店で、その本社ビルとして建設されたのがこのシアーズ・タワーでした。1994年にタワーは売却。今もシアーズ自体は百貨店として残っており、モールなどでその店舗をよく見かけます。2005年にKマートと合併、シアーズ・ホールディングスとなって、現在、ウォルマート、ホームデポに次ぐ全米第3位の小売業者です。

　103階に「Skydeck Chicago」と呼ばれる展望室があります。

　シカゴ滞在期間中、ずっと曇りや雪の予報で、展望があまり望めなさそうだったので、夜景を狙って出かけることにしました。スカイデッキ専用の入り口があり、そこから入ります。時間が遅いせいか閑散・・・チケット売り場も閑散。

　セキュリティーチェックを受け、シカゴの歴史や産業を紹介するコーナーを通り、その奥の映写室で10分弱のウイリスタワー紹介ビデオを見ます。ここまでは空いているなぁという印象でした・・・が・・・

その後、103階まで上がるエレベーターを待つ列が全く動かない・・・。

ある一定の人数しか上に上げないようにしているらしく、なかなか進みません。

1時間以上待ったでしょうか。

こりゃぁ、チケット売り場に列が出来るほど混んだ日にゃぁ、上まで行くのに一日かかるぜ・・・と思ったのでした。最終日、空港に行く前に寄っていこうかなんて思っていたけれど、夜来て良かった。

シアーズタワーからのシカゴ夜景

　本当はまだ明るさの残る夕暮れ時がベストでしょう。

　それに平日の方が、ビルの窓の明かりも多くて綺麗なんでしょうね。

床を含めて全面ガラス張りの展望台「The Ledge」

　ちなみに、日本で最も高いビルは横浜ランドマークタワー296m、2番目の東京都庁第一本庁舎が243m。「シアーズタワーはそれより100m以上も高いのかぁ」ということなのですが、実際見ても実感は沸きません。回りのビルもそこそこ高いので、群を抜く高さはさほど感じませんし、近づいたら近づいたで、首が痛くなるだけでもうよく分からない世界。たぶん山と同じで、相対するそこそこ高めのビルから眺めると、高さを感じられるのだと思います。ヘリコプターなどで横を飛んで見るのが一番いいのでしょう。

　シアーズタワーが出来た頃には、「超高層」を競い合う風潮が確かにありました。しかし現在では環境や安全などのマイナス面のほうがむしろ取りざたされ、先進国では既に流行ってはいないと思います。テロの標的にもなりますしね。現在の高層建築物の上位を眺めてみると、１位ドバイのブルジュ・ハリファ（軒高643.3m、アンテナ高828m）を除き、４位までは中国（香港含む）、中華民国、６位がマレーシアで、７位にアメリカ・ウィリスタワー、で１０位までがまた中国（香港含む）・・・中華民国は別にしても、あんなデカイ面積を持つ中国で、高層建築などそもそも必要であるはずが無いと思うんですが。高いのが好き、速いのが好き・・・なんでしょうね。そのほうがエライ、そのほうが先進的だと思ってるんでしょうね。

　現在建設中のニューヨークのワールドトレードセンターはアメリカ合衆国独立宣言の年にちなんで高さ1,776フィート(541m)でアメリカで最も高いビルになる予定。シカゴではそれよりも高い、高さ609mのシカゴ・スパイヤと呼ばれるビルが建設されはじめていましたが、経済危機の影響で現在建設凍結中なのだそうです。

　東京だけで話題になっている、東京スカイツリー、これも実用性というよりは、ちょっと落ち込み気味の国威高揚と、観光収益アップの意味合いが強いような気もしないではないです。すこーしだけ恥ずかしい（笑）

タグ：シカゴ、高層ビル、摩天楼