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コダックの危機 [カメラ&写真]

コダックが、ニューヨーク証券取引所から上場廃止の警告を受けたと言うニュース。そして、それに引き続き、破産申請の準備に入ったというニュースが年明け早々飛び込んで来ました。昨今、報道されている状況からこれらは時間の問題であることは明らかでしたから、いまさら驚きはしませんが、写真、映画の世界で一時代を築いたコダックですから、感慨深いものはあります。

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ジョージ・イーストマン・ハウス@ニューヨーク州ロチェスター
  コダック創設者のお屋敷、内部は写真博物館になっています。
残念ながらこのときは時間が無くて入らなかった。
  日本には小西六兵衛住宅なんてのは残ってないよねぇ・・たぶん。

コダックは銀塩フイルム時代、写真産業、そして映画産業を代表する企業でした。別の観点では、日本がアメリカに憧れた1950~70年代、まさに、そのアメリカ文化を代表する企業の一つとして我々にインパクトを与えてきたのではないでしょうか・・リアルタイムでは知らないけどね(^^; 

私も写真を始めた頃(1980年代初め)に使っていたフイルムも、同社のコダクロームであり、エクタクロームでした。
当時、富士のリバーサルフイルムはまだ「駄目」でしたから。

世界の写真業界・・・フイルムの売り上げは、1990年代にピークを迎えるんですよ。そこから10年で1/10・・・さらにそれ以下になってしまうという世界。

御存知の通り、感光材料というのは設備産業でして、大きな特殊な生産設備が必要なんですな。数量ピークに対応できる生産設備を持った状態で、それがあっという間に要らなくなってしまった。

そんな状況の中、2004年から2006年にかけて、大手写真用感光材料メーカーが相次いで写真事業から撤退します。

 アグファ
  2004年 別会社アグフアフォトを設立しフィルム部門を売却。
  2005年 アグフアフォト破産
  アグファ・ゲバルト本体は印刷機材、医療機器、マイクロフィルム、
  ポリエステルなどを製造する企業として存続中。
  写真関係もブランド名だけは残っており、カメラやモノクロフイルム、
  印画紙などが販売されている。

 イルフォード
  2004年 破産
  2005年 ハーマン・テクノロジーとして再編。
       インクジェット生産部門を王子製紙グループが買収。
       →2010年にParadigm Global Partners LLPに売却。
  モノクロフイルム・印画紙等生産中
 
 コニカ
  2003年 ミノルタと経営統合
  2006年 全ての写真関連分野から撤退
       写真関連事業を大日本印刷(DNP)に売却
       2009年フイルム生産から撤退。

これ以外にも、ブランド名だけを残し、生産からは撤退したメーカーもあります。

この時期を乗り越えた2社(富士コダック)は、2006年にあいついで「写真事業を存続します」という内容のメッセージを市場に向けて出しました。といいながらもその年、「富士写真フイルム」は持株会社制への移行に伴って、社名を「富士フイルム」に変更しています。写真事業は存続したけれど、社名から「写真」を外したわけです(^^;

需要の激減は、生き残った会社が容易に残存者利益を得られると言うような生易しいものではなかったということは、コダックの現状を見れば明らかです。会社を存続する道は、速やかに従来の写真関連事業が無くても成り立つ構造に変革し、写真事業を捨てるか、もしくは少なくともトントンを維持すべく縮小(=経費削減)していく以外にはなかったでしょう。 富士が社名から「写真」を外したのも、その覚悟の現れ。

ただ、写真事業が無くても成り立つ構造に変革するのは実際は難しいんですよ。生産設備だけでなく、関連企業も含め、それに関わる巨大な組織まで抱えていますから。デジタルも同じ「写真」なのでうが、インフラもビジネスモデルも違う。それに、事業モデルをデジタルにマッチさせたところで、得られる利益はたかが知れてるんですな。銀塩フイルムの夢のような収益には遠く及ばない。だからなおさら難しい。何か写真事業に取って代わるような利益を生み出すための新たな発明やイノベーションが生まれないとね。富士には良いタイミングでそれがあった。

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コダック本社@ニューヨーク州ロチェスター
ロチェスターという町はニューヨーク州といっても内陸側で、
シティーからはかなり離れてます。

適用申請が準備されているといわれている米連邦破産法11章日本の民事再生法に相当するものなので、今すぐに生産、販売が停止することはないと思いますが、どのような再建計画を建てるか・・・ですよね。普通に考えれば、写真事業を切っちゃうのですが、売却しようと思っても、いまさら買い手はいないだろうし。分離してもアグファフォトと同じ運命になるだけでしょうしね。

まともなカラー感材を作れるのは今やコダックと富士だけ、あとはコダックの息がかかったラッキー(中国)かな。 その他メーカーでもトイカメラならぬトイフイルムレベルのものなら作れるのでしょうが・・・。 

でもこれからの時代、それでもいいのかもしれません。 

さてさてこれからどうなりますか。

タグ:Kodak
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